25年1月の所得については、
源泉所得税の徴収の際、
復興特別所得税を徴収し、
源泉所得税の法定申告期限までに国に納付しなければなりません。
ここに、
「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」[1]
(だいたい、名前も長いねん、ということで、
以下、「復興財源確保法」と略されています。)
とは、なんぞや、
ってところからはじめますと
東日本大震災では大変な災害がおこりましたよね。
その復興のために、たくさんお金がいるわけです。
で、その復興のために
まず、東日本大震災復興基本法
っていうものが、
東日本大震災からの復興の円滑かつ迅速な推進と活力ある日本の再生を図ることを目的
で
制定されまして、
そこで謳われている、基本理念[2]のもと
財源確保のために制定された、措置法であります。
つまり、増税のための法律ですね。
対象は、法人税、所得税、住民税です。
ホンマに復興のために使うんかい!
ちゃんと、被災した人を助けたってや、
等々
皆さま、色々ツッコミどころはあるでしょうが
ここの本題は、
その源泉徴収をどうするか、ということにありますので
そのあたりはスルーさせていただいて
源泉徴収の実務について、説明させていただきます。
で、措置法では、
第二十八条 所得税法第四編第一章から第六章まで並びに租税特別措置法第三条の三第三項、第六条第二項(同条第十一項において準用する場合を含む。)、第八条の三第三項、第九条の二第二項、第九条の三の二第一項、第九条の六第四項、第三十七条の十一の四第一項、第四十一条の九第三項、第四十一条の十二第三項及び第四十二条第一項の規定により所得税を徴収して納付すべき者は、その徴収(平成二十五年一月一日から平成四十九年十二月三十一日までの間に行うべきものに限る。)の際、復興特別所得税を併せて徴収し、当該所得税の法定納期限(国税通則法第二条第八号に規定する法定納期限をいう。第三十条第一項において同じ。)までに、当該復興特別所得税を当該所得税に併せて国に納付しなければならない。
と、されています。
しかし、なんでこう、条文って言うのはわかりづらいんでしょうね(苦笑)
要するに、
期限までに、この法律に基づく税金(以下、「復興税」とします)
を考慮した源泉を納付しなきゃダメでっせ
っていうことです。
で、ここでややこしいのが
平成24年12月〜平成25年に支払われる報酬等に係る源泉税です。
ホラ、報酬って一ヶ月遅れで支払われたりするじゃないですか、
12月分を1月に支払う、
等、実務上普通に行われていることですよね。
そしたら、その支払時に預かる源泉は
どうすりゃいいねん、
っていう疑問が出てくるのです。
国税庁のHP[3]でも、
「平成25年1月1日以降に支払を受ける
給与等から復興特別所得税が源泉徴収されることとなります。」
となっております。
ちなみに、これは報酬等を受領した側から見た考え方ですので
「支払いを受ける」
という表現になっています。
しかしオイ、ちょっと待て
そもそも論からすると
復興税って平成25年度のものですよね。
でも、「1月1日以降に支払いを受ける」
っていうことは、
12月分を1月にもらう場合も、
源泉は復興税を加算した新しい率で徴収せなイカンのかい
って話ですよ。
そこで、移行期における、処理方法をご紹介させて頂きます。
(例1)
平成25年1月分の報酬を25年1月中に計算し、1月以降に支払う場合
→ 10.21%(新)
(例2)
平成24年12月分の報酬を12月中に計算し、1月中に支払う場合
→ 10%(旧)
(例3)
平成25年1月分の報酬を平成24年12月に計算し、12月中に支払う場合
→ 10%(旧)
(例4)
平成25年1月の報酬を平成24年12月に計算し、1月以降に支払う場合
→ 10.21%(新)
つまり、基本的には
平成24年度分か25年度分かによって、源泉税の率を適用するのですが、
25年1月分を前払いし、源泉税を徴収する場合は、
復興特別所得税が課されないこととなります。
ちなみに、源泉徴収する場合の端数処理は、円未満切捨てとされています(措法31[4])。
だいたい、コンマ21て細かいねん、
1円とか面倒くさー
とか、現場の声もよ〜〜くわかりますが
1円に笑うものは1円に泣く
の精神で(?)、きっちり源泉してくださいませ。
そして、どうかこれで
遅れに遅れまくっている被災地の復興がされることを
願ってやみません。
ということですが、いかがでしょうか。
特に2月に支払う源泉税は、ややこしいですね。
こちらは、実務上、すぐに関わってくることですので
また何かあればご報告させていただきます。
ところで、
源泉所得税って色々論点があります。
源泉所得税は、会社等が従業員の税金を預かって
変わりに納付し
年末調整もしてあげます。
ということは、源泉所得税の納税義務者はダレ?
という疑問が出てくるわけです。
収入を得たのは、サラリーマンで
本来はその人が支払うべき、所得税
でも、法定納期限までに支払うべきは
雇い主。
この論点について
また後日、孫の手のコーナーでUPさせていただこうと思います。
(ただいま、執筆中デス)
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[1] 平成23年12月2日法律第百十七号
[2](基本理念)
第二条
東日本大震災からの復興は、次に掲げる事項を基本理念として行うものとする。
一
未曽有の災害により、多数の人命が失われるとともに、多数の被災者がその生活基盤を奪われ、被災地域内外での避難生活を余儀なくされる等甚大な被害が生じており、かつ、被災地域における経済活動の停滞が連鎖的に全国各地における企業活動や国民生活に支障を及ぼしている等その影響が広く全国に及んでいることを踏まえ、国民一般の理解と協力の下に、被害を受けた施設を原形に復旧すること等の単なる災害復旧にとどまらない活力ある日本の再生を視野に入れた抜本的な対策及び一人一人の人間が災害を乗り越えて豊かな人生を送ることができるようにすることを旨として行われる復興のための施策の推進により、新たな地域社会の構築がなされるとともに、二十一世紀半ばにおける日本のあるべき姿を目指して行われるべきこと。この場合において、行政の内外の知見が集約され、その活用がされるべきこと。
二
国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の連携協力並びに全国各地の地方公共団体の相互の連携協力が確保されるとともに、被災地域の住民の意向が尊重され、あわせて女性、子ども、障害者等を含めた多様な国民の意見が反映されるべきこと。この場合において、被災により本来果たすべき機能を十全に発揮することができない地方公共団体があることへの配慮がされるべきこと。
三
被災者を含む国民一人一人が相互に連帯し、かつ、協力することを基本とし、国民、事業者その他民間における多様な主体が、自発的に協働するとともに、適切に役割を分担すべきこと。
四
少子高齢化、人口の減少及び国境を越えた社会経済活動の進展への対応等の我が国が直面する課題や、食料問題、電力その他のエネルギーの利用の制約、環境への負荷及び地球温暖化問題等の人類共通の課題の解決に資するための先導的な施策への取組が行われるべきこと。
五
次に掲げる施策が推進されるべきこと。
イ 地震その他の天災地変による災害の防止の効果が高く、何人も将来にわたって安心して暮らすことのできる安全な地域づくりを進めるための施策
ロ 被災地域における雇用機会の創出と持続可能で活力ある社会経済の再生を図るための施策
ハ 地域の特色ある文化を振興し、地域社会の絆の維持及び強化を図り、並びに共生社会の実現に資するための施策
六
原子力発電施設の事故による災害を受けた地域の復興については、当該災害の復旧の状況等を勘案しつつ、前各号に掲げる事項が行われるべきこと。
[3] 国税庁HP(http://www.nta.go.jp/)のうち、平成25年度源泉に関するパンフレット(PDF)
[4] (源泉徴収に係る復興特別所得税の課税標準の端数計算等)
第三十一条
源泉徴収に係る復興特別所得税(附帯税を除く。次項において同じ。)の課税標準の端数計算については、国税通則法第百十八条の規定は、適用しない。
2
源泉徴収に係る復興特別所得税の確定金額の端数計算及び当該復興特別所得税の基準所得税額である所得税(附帯税を除く。)の確定金額の端数計算については、国税通則法第百十九条の規定にかかわらず、これらの確定金額の合計額によって行い、当該合計額に一円未満の端数があるとき、又はその全額が一円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てる。
3
第二十四条第三項から第七項までの規定は源泉徴収に係る復興特別所得税及び所得税の還付金等、附帯税等又は還付加算金の計算について、第二十五条の規定は還付金等又は還付加算金を未納の源泉徴収に係る復興特別所得税及び所得税に充当する場合について、それぞれ準用する。