コラム すみれの小径

「2.原点 〜消費税増税にモノ申ス@〜

                           税理士 松田 昭子




「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案」
などという仰々しい名前の下、
いわゆる、消費税増税案が24年3月30日に提出され
同年8月10日に成立している。

国民の反発が強かろうがなんであろうが
成立されてしまったものは我々は従うほかないわけで
買い物をするたびに大人しく消費税を払っていくことになるのである。

消費税導入、税率アップのたびに同じ思いをしてきており
何を言っても仕方がないことであり
こんなマイナーサイトでボソボソ言っても
何の意味もないであろうが
それでもあえて、小さな声を挙げてみようと思う。

消費税の趣旨としては法案のタイトルにもある
「社会保障の安定財源の確保等を図る」という観点から
必要であるという前提で話を進めるものとする。
実際にこれらに還元されているかどうかは別問題としておいて
ここで問題なのは、法体系の在り方なのではないだろうか。

消費税率3%、5%、8%、10%という議論の前に
もっともっとすべき議論があるのではないだろうか。

というのも、我々が消費するたびに支払っている現5%の消費税、
それが、丸々税金として貢献しているのか
という部分に疑問が残る法体系なのである。

例えば、我々が100円のチョコレートを買って5円の消費税を販売店に支払ったとする。

その5円が、そのまま記録されて年度の最終日に集計され消費税が支払われるのか

というと、そういうわけではないのである。

消費税は、事業主がまとめてお国(と地方自治体)へ支払うのであるが
その際の計算方法は簡単に言うと、

売上にかかった消費税額-仕入にかかった消費税額=納税額

となる。

この方法によると、一見もれなく消費税がきちんと支払われているように見えます。

しかし、消費税は納付方法に色々選択が認められていて
例えば、簡易課税制度を選択した場合、

売上にかかった消費税ー売上にかかった消費税×90%

という方法が認められている。

この90%というのは、業種によって割合が異なるのであるが
とりあえず、ここでは90%を例に挙げておくとしよう。

例えば、年間1000円の売上、800円の仕入があったとしよう。

そうすると、実際に受取った消費税は50円、支払った消費税は40円で
差額は10円なので、その事業者が納付すべき消費税額は10円である。

しかし、簡易課税制度を選択すると

50円円−50×90%なので、50円−45円となって

納付すべき消費税額は5円で済むのである。

この簡易課税制度というのは、我々税理士にとって
節税対策として案を出す一番ポピュラーなものであるのだが
それと同時に、判断を誤ると顧客に損失を与えてしまう
という、非常に怖い制度でもある。
(今回は割愛するが簡易課税の選択に関する判定基準にも問題がある。)

そして、一国民としてこの制度を見ると
「自分が支払った消費税が、還元されていないじゃないか!!」
という憤りを感じるのである。

また納税する側としても、その選択如何によって
同じ売上、仕入であるのに
その計算方法の選択によって負担額がかわるというのは
あまりにも曖昧で不公平な制度ではなかろうか。

税率をあげる前に、まず原点に戻り
徴収方法を議論し見直しをすべきであると強く感じる。





平成25年7月28日



参考
 財務省HP内「国会提出法案」
https://www.mof.go.jp/about_mof/bills/180diet/index.htm




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