納税義務者以外の第三者に租税を徴収させ、
その第三者に税金を納付させる方法を「徴収納付」って言います。
お給料から控除されている源泉徴収がこれに当たります。
サラリーマンの方は、お給料から所得税が差し引かれていますよね。
あのことです。
で、この場合、雇い主(会社)は、
その徴収した税金を納付する義務を負います。
この方法によって、税金を能率的かつ確実に徴収することが出来ます。
つまり、租税徴収確保のために採用されるんですね。
そして、この「徴収」「納付」の関係について難しい言葉で言いますと、
作為義務(納税義務者から租税を徴収する義務)と、
給付義務(徴収した租税を納付する義務)の結合した特殊な義務
となります。
本来の納税義務(本当に納付すべきは給与をもらう人)ではないけれど、
会社は、源泉徴収した税金を納付しなければなりません。
そこで、納税義務者と徴収納税義務者を合わせて、納付者と呼び、
納税義務者の租税を納付する義務と、徴収納税義務者の租税を納付する義務を合わせて、
納税義務と呼んでいます。(国通15)[1]。
ここで、徴収納付の法律関係を表すと次のとおりとなります。
従業員・・・・・・・・・・・・・・→給与から差し引かれることにより税額相当額を給付@・・・・・・・・・→雇い主
(本来の納税義務者)(←給与から差し引くことにより税額相当額の徴収を受任する←)(徴収納付義務者)
↓関係切断A
↓納付B
国・地方公共団体 国・地方公共団体
※@ 私法上の債務関係(法律関係)
※A 徴収義務者を通じて間接的に対立し合うにすぎない
※B 公法上の債務関係(法律関係)
ここで注意しなければならないのは
徴収納付義務者が、納期限までに徴収納付しない時は、
督促のうえ、滞納処分がされます(国通36、37、40)。[2]
地方税の場合も、特別徴収義務者(徴収納付義務者の地方税の場合の呼び方)も同様に
督促のうえ、滞納処分がされます(地329)。
つまり、それだけ徴収納付義務者たる会社の責任は重いということです。
[1](納税義務の成立及びその納付すべき税額の確定)
第十五条 国税を納付する義務(源泉徴収による国税については、これを徴収して国に納付する義務。以下「納税義務」という。)が成立する場合には、その成立と同時に特別の手続を要しないで納付すべき税額が確定する国税を除き、国税に関する法律の定める手続により、その国税についての納付すべき税額が確定されるものとする。
2 納税義務は、次の各号に掲げる国税(第一号から第十二号までにおいて、附帯税を除く。)については、当該各号に定める時(当該国税のうち政令で定めるものについては、政令で定める時)に成立する。
一 所得税(次号に掲げるものを除く。) 暦年の終了の時
二 源泉徴収による所得税 利子、配当、給与、報酬、料金その他源泉徴収をすべきものとされている所得の支払の時
三 法人税 事業年度(連結所得に対する法人税については、連結事業年度)の終了の時
四 相続税 相続又は遺贈(贈与者の死亡により効力を生ずる贈与を含む。)による財産の取得の時
五 贈与税 贈与(贈与者の死亡により効力を生ずる贈与を除く。)による財産の取得の時
六 地価税 課税時期(地価税法 (平成三年法律第六十九号)第二条第四号 (定義)に規定する課税時期をいう。)
七 消費税等 課税資産の譲渡等(消費税法第二条第一項第九号 (定義)に規定する課税資産の譲渡等をいう。)をした時又は課税物件の製造場(石油ガス税については石油ガスの充てん場とし、石油石炭税については原油、ガス状炭化水素又は石炭の採取場とする。)からの移出若しくは保税地域からの引取りの時
八 航空機燃料税 航空機燃料の航空機への積込みの時
九 電源開発促進税 販売電気の料金の支払を受ける権利の確定の時
十 自動車重量税 自動車検査証の交付若しくは返付の時又は届出軽自動車についての車両番号の指定の時
十一 印紙税 課税文書の作成の時
十二 登録免許税 登記、登録、特許、免許、許可、認可、認定、指定又は技能証明の時
十三 過少申告加算税、無申告加算税又は第六十八条第一項若しくは第二項(申告納税方式による国税の重加算税)の規定による重加算税 法定申告期限の経過の時
十四 不納付加算税又は第六十八条第三項の規定による重加算税 法定納期限の経過の時
3 納税義務の成立と同時に特別の手続を要しないで納付すべき税額が確定する国税は、次に掲げる国税とする。
一 所得税法第二編第五章第一節 (予定納税)(同法第百六十六条 (非居住者に対する準用)において準用する場合を含む。)の規定により納付すべき所得税(以下「予定納税に係る所得税」という。)
二 源泉徴収による国税
三 自動車重量税
四 印紙税(印紙税法 (昭和四十二年法律第二十三号)第十一条 及び第十二条 (申告納税方式による印紙税)の規定の適用を受ける印紙税及び過怠税を除く。)
[2]第三十六条 税務署長は、国税に関する法律の規定により次に掲げる国税(その滞納処分費を除く。以下次条において同じ。)を徴収しようとするときは、納税の告知をしなければならない。
一 賦課課税方式による国税(過少申告加算税、無申告加算税及び前条第三項に規定する重加算税を除く。)
二 源泉徴収による国税でその法定納期限までに納付されなかつたもの
三 自動車重量税でその法定納期限までに納付されなかつたもの
四 登録免許税でその法定納期限までに納付されなかつたもの
2 前項の規定による納税の告知は、税務署長が、政令で定めるところにより、納付すべき税額、納期限及び納付場所を記載した納税告知書を送達して行う。ただし、担保として提供された金銭をもつて消費税等を納付させる場合その他政令で定める場合には、納税告知書の送達に代え、当該職員に口頭で当該告知をさせることができる。
(督促)
第三十七条 納税者がその国税を第三十五条(申告納税方式による国税の納付)又は前条第二項の納期限(予定納税に係る所得税については、所得税法第百四条第一項 、第百七条第一項又は第百十五条(予定納税額の納付)(これらの規定を同法第百六十六条 (非居住者に対する準用)において準用する場合を含む。)の納期限とし、延滞税及び利子税については、その計算の基礎となる国税のこれらの納期限とする。以下「納期限」という。)までに完納しない場合には、税務署長は、その国税が次に掲げる国税である場合を除き、その納税者に対し、督促状によりその納付を督促しなければならない。
一 次条第一項若しくは第三項又は国税徴収法第百五十九条 (保全差押)の規定の適用を受けた国税
二 国税に関する法律の規定により一定の事実が生じた場合に直ちに徴収するものとされている国税
2 前項の督促状は、国税に関する法律に別段の定めがあるものを除き、その国税の納期限から五十日以内に発するものとする。
3 第一項の督促をする場合において、その督促に係る国税についての延滞税又は利子税があるときは、その延滞税又は利子税につき、あわせて督促しなければならない。
第四十条 税務署長は、第三十七条(督促)の規定による督促に係る国税がその督促状を発した日から起算して十日を経過した日までに完納されない場合、第三十八条第一項(繰上請求)の規定による請求に係る国税がその請求に係る期限までに完納されない場合その他国税徴収法 に定める場合には、同法 その他の法律の規定により滞納処分を行なう。
参考文献 金子宏「租税法(第15版)」734頁〜740頁(弘文堂,平成22年)
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