デット・エクイティ・スワップの法体系

                 税理士  松田 昭子


第1節 概要

  法人が債務超過に陥った場合、
その事業再建のための救済策として行われる方法には、
債権者による債権放棄のほか、
その債務超過法人が行う増資引受けが挙げられる。

債務超過法人に対する増資引受けについては、
何のメリットも無しに行われるということは考えがたく、
特に債権者が、その債務者に対する増資引受けをするという場合は、
債権者と債務者が親会社と子会社関係といった
特別の関係がある場合がほとんどである。

親会社(債権者)による、
債務超過法人である子会社(債務者)に対する増資引受の手法としては、
その金銭債権を直接現物出資して増資引受けをする場合もあれば、
子会社に対していったん金銭出資を行い、
それにより子会社が親会社に対して金銭債権を返済するという方法もある。

これは、債権の株式への転換、債務の株式化
またはデット・エクイティ・スワップ(
Debt Equity Swap
と呼ばれるものである(以下、DESという)。

DESが行われれば、
子会社は親会社に対する債務を返済することが出来、
親会社については債権を回収できるとともに、
その株式からキャピタルゲインを得ることができ、
更に、その株式に議決権がある場合には、経営への関与が強められ、
子会社に対するリーダーシップをより発揮できることになる。
DESは、保有資産の種類を変更する取引で、
具体的には、債務超過会社に対する負債を株式に振り替えることによって、
法人の財務内容(バランスシート)を改善して
再建を図る目的で利用されている。
[1]

しかし、従来、わが国ではDESは一般的ではなかった。

DESは、もともと銀行などが融資先に対して
その有する債権を現物出資する形で行われる。
銀行法
[2]及び独占禁止法[3]は、
金融機関が事業会社の発行済株式総数の
5%超を所有することを禁じている(銀行法16条の3、独占禁止法11条)が、
銀行法施行規則の改正により、
合理的な経営改善のための計画に基づくものなど、
内閣府令で定める事由に該当すれば、
例外的にその保有が認められることとなった。
[4]

また、独占禁止法第11条では、
銀行が発行済株式総数の100分の5を超える株式の保有を禁止しているが、
但し書きにおいて、
事業活動を拘束する恐れがない場合などには、その保有を認めており、
公正取引委員会は、その方法について、
債務の株式化に係る独占禁止法第11条の規定による認可についての考え方」
[5]において明確にしている。

更に、平成1110月から施行された
産業活力再生特別措置法
[6]により、
事業再構築計画を所管官庁に提出して認定を受ければ
増資に伴う登録免許税が軽減されるなどの措置が講じられた。

DESは、裁判所の関与なくして関係者間の合意によって事業再建を図れることや、
単純な債権放棄よりも、
債権者にとって債務者に対する支配力を高めることができるという点で魅力があることから、
今後ますます利用されることが予測される。
[7]

以上のことを背景としてDESについては、
債務超過会社の再建方法として、
広く用いられるようになってきているのであるが、
DESを図った場合、
親会社の有していた債権の評価(債権の価値)
[8]
というものが問題となる。

例えば、親会社が100万円を子会社に貸し付けていたとしても、

その子会社の財務状況によっては
1万円しか回収できない状況にまで陥っている可能性がある。

そうすると、増資引受けを債権の現物出資で行った場合、
その増資引受けの価額について、
債権の評価をどのようにするかが問題となる。

また、増資引受けを金銭出資により行い、
その出資した金銭によって債権を回収した場合も、
実質的には現物出資による増資引受と変わらないこととなり、
その債権の評価が問題となる。

第2節 券面額説と評価額説

  既述のとおり債権者がその有する債権を、債務超過法人の株式に転換させ、
債務超過法人が資本の金額を増加させる取引については、
経営不振企業の再建のため、しばしば利用される手法であるが、
このような債権の評価額が株式の券面額を下回ることから、
新株の発行価額をどのようにするかについて問題となってくる。
そして、この場合の債権の価額の評価については、
古くから券面額説と評価額説とが拮抗している。

第1項 券面額説

券面額説とは、
新株の発行価額の基準を債権の券面(額面)額とする方法である。

金銭以外の財産の出資をする場合には、
その現物出資に係る財産の価額を調査させるため、
裁判所に対し検査役の選任の申し立てが必要である(会207@)。

しかし、金銭債権を現物出資した場合のうち、
一定の要件に該当すれば、
その検査役の検査を省略することができ(会207H四)、
調査に要する時間・経費を節約できることとなっている。

また、債務の減少は額面金額での減少であり
同額の純資産の増加をもたらしているという解釈のもと、
資本取引
[9]を行おうとする
当事者の意思に反する債務免除益が発生することを回避するためには、
一般に券面額説が有力であるとされている。
[10]

これは、東京地方裁判所判事(論文執筆当時)の針塚遵氏が
券面額説の見解を示したことが影響していると考えられる。
[11]
その根拠を要約すると次の通りである。[12]

  (1)会計理論との関係

    DESを行うと、
その債権の券面額相当額の債務が減少する結果、
会社の純資産額の増加または資本欠損額もしくは債務超過額の減少は、
その券面額において生じる。

この場合に、
評価額説に従って評価額についてのみ資本増加を行おうとすると、
券面額と評価額の差額について
債務免除益を計上しなければならず
一部が損益取引として取り扱われることになる)、

これは、資本取引を行おうとする当事者の意思に反するものとなる。

評価額説は、その会社に対する債権を
現物出資した場合に生じる債務の消滅という事態には
適合しないと考えられる(傍線、筆者)。

  (2)資本充実の原則との関係

資本充実の原則[13]は、
現物出資された資産について
当初から含み損があるという事態の発生は許されないと考えられるが、
資本増加額に見合う積極財産を、
現実に会社に組み入れることを要求しているとまで考える必要はない。
DESにおいて、券面額説を採用しても、
その債権は消滅するわけであるから、
現物出資の結果として
会社財産に含み損があるという事態が発生することはなく、
資本充実の原則に反するとはいえない。

DES が行われた場合、他の債権者にとっては、
券面額説でも評価額説でも、
会社が清算された場合の予想配当率が向上する度合いが大きいから有利
ということができ、結局、
券面額説を採用することにより不利益を被る者はいない
ことになる
(傍線、筆者)。

他の株主の持株比率は、発行新株数の影響を受けるが、
これは、第三者割当増資に共通の問題であり、
評価額説か券面額説かという問題とは、直接関係はない。

(3)資本金額公示との関係

会社登記簿に表示される資本金額は、
資本欠損や債務超過が生じても当然に減少すべきものではないから、
会社の財務内容を判断するうえでおよそ参考になるものではない。

ただ、DESによって資本が増加すると、
「それだけの資本が集められる信用のある会社であろう」
という誤解を招く危険性はあり、
券面額説によれば、
その誤解の程度が
評価額説よりも大きなものとなる可能性がある。

しかし、
債務超過会社が減資することなく増資をすることは許されるし、
出資者が増資に応じる動機もさまざまであることからすると、
その信頼が保護に値するものといえるか疑問といえる。

(4)実際的必要性

債務超過の状態にある会社が多い昨今、
DESにより、
会社の財務内容を改善させることができれば、
社会経済的に大きな利益がある。
しかし、評価額説によらなければならないとすれば、
債権者がこれを行う魅力に欠けることとなってしまう。

なぜなら、これにより債権者の受け取る株式は、
そもそも債務超過会社であるのだから、一株当たりの価値が低いため、
株式を大量に発行せざるを得ず、
また、あらかじめ減資の手続を行うという方法も考えられるが、
株主総会の特別決議が必要となるなど、
手続的に容易なことではない。

したがって、
発行される株式の実質的価値を消滅する債権のそれに少しでも近づけ、
債権者にこれを行うインセンティブを与えるためには、
券面額説によることが実際的である。

(5)補足

    会社が債権者に対して債務を弁済し、
その弁済額を払込金とする金銭出資をさせれば、
券面額説を採用したのと同じ結果となる。

そして、このような場合の債務の弁済は、
債務を他の債権者に劣後する株式に転換することを目的とする
一連の行為の一部と見ることができるから、
他の債権者の利益にこそなれ、
これを害する行為とはいえず、
詐害行為
[14]にあたらないといえる。

このような方法が有効であるとすれば、
評価額説を維持しても意味がないということとなる。

債務者の財務内容が健全であるならば、
この方法によることに問題はない。

 

以上のような見解が示されたわけであるが、
債務超過会社に対する債権の評価については、
上記のうち
特に資本充実の原則の観点から問題があるとの指摘がある。

資本充実の原則は資本維持の原則とも呼ばれ、
会社資産の社外流出を防止するもので(会社財産の維持)、
剰余金の分配規制がこれに当たるものである。
[15]

この方法は、
債務者の財務内容が健全であるならば問題はないが、
券面額説によった場合、
実際には50円の価値しかない債権が、
券面額である100円で計上されていると、実際の純資産の額より増え、
その分だけ分配可能額
[16]
大きくなることとなり、
会社純資産の社外流出が考えられる。

逆に債務者側において、
増資新株を券面額で評価することについても、
一株当たりの株価が下がることとなり、
その分だけ分配可能額が減ってしまい、
既存株主の利益を損なうことも考えられる。

しかし、この点について藤田友敬氏は、
一般的には既存株主の利益が害されるおそれがあるものの、
負債比率が改善される等のことを考慮すると、
かえって既存株主の利益にもなり得、
会社の置かれている状況次第では、
「株主にとっていか(・・)なる(・・)場合(・・)()あって(・・・)()不利(・・)()ある(・・)とまではいえない」
[17]
と述べている。

会社法は、出資に関し資本充実の要請上、
その債務との相殺を禁止しているものの(会208B)、
株式の引受け等についての募集事項の決定の際、
金銭以外の資産を現物出資することについて定めたときは、
現物出資認めている(会199@三)。

[18]このように、貸付金を現物出資することを認めてはいたが、
その実務上の煩雑さから、あまり利用されていなかった。

しかし、現物出資に係る財産の価額が相当であることについて、
弁護士等の証明を受けた場合には、
その証明を受けた現物出資財産の価額により、
検査役の検査は要しない旨の規定がされ、
利用しやすくなったのである(会207H四)。
このことについて、藤田耕司・岡本高太郎両氏は、
「企業再建の対象となるような会社に対する債権の現実の時価
(第三者間でその債権が取引される場合の価格)は
債権の額面金額を大幅に下回るのが通常であるから、
公認会計士、弁護士、税理士等が債権の価値について
券面(・・)額説(・・)()従った(・・・)証明書(・・・)()書く(・・)こと(・・)()()相当(・・)()躊躇(・・)()ある(・・)と想像される。
(傍点 筆者)」
[19]
と述べている。
つまり、評価額説による証明がなされる可能性を示していると思われる。

また、針塚遵氏は上記見解を示したのち、
「券面額説の採用に対しては、
時代の要請を裁判所が譲歩したかのような誤解もみられる。
そうではないことをもう一度説明しておく」
として、
「券面額説が妥当とするのは会社側だけのことであり、
債権者は、債権の回収可能性(会社の破綻の可能性)を考慮した
実質価額(評価額)をもって行動の基準としなければならない」
[20]
と再論している。

そして、会社法上も「〜時の価額」という表現は使用せず、
単に「価額」と表現しており(会199@三、同207H五)、
券面額説・評価額説のいずれを採るかは明文規定されていない。

つまり、法務省の見解としては、
簿価でも時価でもいずれも採ることができるように
「価額」という用語を用いている。
[21]

そして、弁済期が到来しているものに限っては
券面額説によっても既存株主に損害は生じないという解釈がある。
[22]

なお、券面額説については、
神田秀樹氏が、
「債務者にとっては、債務の券面額について債務を負わないこととなる以上、
その券面額について現物出資を受けたと取り扱うこととするという考え方である」
[23]
として、
券面額説を採用することについての理論的可能性をを示しており、
赤石一秀氏、弥永真生氏も、
「現物出資の評価で重要なのは、出資者にとっての価値ではなく、
出資を受ける会社にとっての価値であり、後者(券面額 筆者)に従って、
評価額を決定するのが基本である」
として、券面額説の有用性を述べている。
[24]
更に赤石氏は、DESの機能として、
資本の欠損、債務超過に陥った会社について、
負債圧縮による財務体質の強化、バランスシート調整の一環として行われる
との見解を述べている。
すなわち、債務を負債から振り替えることにより、
債務に係る利息負担を免れ(PLの改善)、
債務超過をも解消し(BSの改善)、
企業家族・債権を可能・容易にするという効果があるという理由で、
券面額説を採用することを支持している。
[25]

また、弥永氏は、諸外国における取扱いと比較したうえで、
日本の商法に照らし、券面額説によることの可能性を示している。
[26]

しかし、藤田友敬氏は、
既存株主の持分が必要以上に薄められることになることを理由に、
券面額説に対する懸念を示している。
[27]

なお、税務上では
適格組織再編成の場面においては
例外的に券面額説による簿価引継ぎを認めている(後述)。

【具体的な計算例】

債権(貸付金)の額面が100
回収可能額が50の場合における
その債権の現物出資による増資引受け。

債務者は、50の価値のある株式を発行し、
債権者がその株式を、貸付金全額を現物出資して引受け。

      @ 債権者側の処理

      有価証券     100    /   貸付金  100

      A 債務者側の処理

      借入金      100   /   資本金  100

 

第2項 評価額説

評価額説とは、
新株の発行価額の基準を
債務者側の財務内容を反映させる債権の評価額とする方法である。
したがって、債権の価値が券面額を下回る場合(全額回収不能の場合)には、
その時の価額(回収されるべき金額)で評価するものである。

評価額説を採用する場合、
債権をどのような基準で評価するかが問題となる。

この件について、経済産業省は、
まず、
再生企業の合理的に見積られた回収可能額を算定し、
それを基に留保される債権とDESの対象となる債権に分け、
そしてDESの対象となる債権の時価を決めるという検討結果を報告している。
[28]

ここで、DESで現物出資される債権の評価方法の
経済産業省の検討結果を要約すると次の手順で行われる。
[29]

 

(1)再生企業の合理的に見積られた回収可能額とは

各資産項目・負債項目ごとに評価を行い実態的な貸借対照表を作成し
債務超過額をベースに債権者調整を行う。
そして、事業再生計画における損益の見込み等を考慮して債務免除額が決定。
再生企業、債権者双方の合意のもと、
再生企業の合理的に見積られた回収可能額に基づいて
債務免除額が決定される。

なお、法人税法施行令第24 条の2 1 項では、
企業再生税制の適用場面における債務免除額の算定方法として、
@資産評定基準
[30]に従って資産評定が行われ、
その評定による価額を基礎とした
再生企業の貸借対照表
が作成されていること(法242@二)、
A前号の貸借対照表における資産及び負債の額、
債務処理に関する計画における損益の見込み等に基づいて
債務免除等をする金額が定められていること(法242@三)、
が規定されている(傍線、筆者)。

(2)DESの対象となる債権の時価とは

再生企業からの回収可能額の算定は、
上記(1)@に従い作成した
実態貸借対照表の債務超過金額に
上記(1)Aの損益の見込み等を考慮して
算定されることとなる。

取得債権について、相対での取引価額がある場合には、
その価額により評価する方法もあるが、
企業再生税制上の取引は、少数の特定取引であることが多く、
客観的、かつ、合理的な価額とは限らない。

一方で、取得をする資産を評価するにあたっては、
交付する資産の価額により評価する方法もあるが、
交付する資産が株式である場合には、
一般的に株式の価値は、
その発行に際して払い込まれる資産(DESの場合は債権)を含めた
会社財産の実体価値であるため、
上場株式の株式市場での株価や
非上場株式での客観的な相対価格が存在する場合を除くと、
その株式の価値をもって取得する資産を評価することは問題がある。

また、これらの価格には、
債権の回収期間後の期待価値が含まれる等の理由から、
企業再生税制の適用場面におけるDESの対象となる債権の評価は、
再生企業の合理的に見積られた回収可能額に基づき評価することが合理的である。

以上のような検討結果が示されたのであるが、
このような方法で評価額説により計算すると、
債権の券面額とその時の価額の差額について債務者側において、
債務免除益が生ずることがある。
債務超過会社の増資引受けについては、
当事者間では資本取引を行おうとするものであるのに、
ここでは債務免除益が生じ、
取引の一部が損益取引として扱われることとなり、
当事者の意思に反することとなる。

しかし、平成18年度税制改正において、
税務上は評価額説を採ることが明確化された。

また、近年わが国でも導入の動きが出ている
IFRS
[31](国際会計基準)でも、
評価額説が採用されている。
[32]

このことからも、DESにおける債権の評価については、
近年では評価額説の流れになってきている。

なお、評価額説については、
太田洋氏が、税務上損失が計上できることから、
「債権者にとっては、券面額説よりも評価額説に従ったほうが税務上効率的である」
[33]
との見解を示しており、針塚氏もまた、
「券面額説が妥当するのは、会社側だけのことであり、
債権者は、債権の回収可能性(会社の破綻の可能性)を考慮した
実質価額(評価額)をもって行動の基準としなければならない」
[34]
としている。

 

【具体的な計算例】

債権(貸付金)の額面が100
回収可能額が50の場合における
その債権の現物出資による増資引受債務者は、50の価値のある株式を発行し、
債権者がその株式を貸付金額を現物出資して引受け。

@ 債権者側の処理         


有価証券


50


貸付金


100(簿価)


損失


50


 

 

A 債務者側の処理


借入金


100(簿価)


資本金


50

   



50


第3節 法人税法上の取扱い 

  税務上、有価証券の取得価額は
給付をした金銭以外の資産の価額の合計額とされている(令119@二)。
DESにおける現物出資債権の時価は、
再生企業、債権者双方が合意をした
回収可能額に基づき評価をすることが合理的であり、
かつ、再生企業の処理とも整合的である。

このため、DESに伴い交付された株式の税務上の評価額は、
上記経済産業省が明らかにした手順の
(2)により算定されるDESの対象となる債権の時価となる。
[35]

つまり、法人税法においては、評価額説を採用している。

 

 

第1項 取扱い

   法人税法においては、
会社更生等による債務免除等があつた場合において、
その法人が債務の免除を受けたとき
(その債権が債務の免除以外の事由により消滅した場合で、
その消滅した債務に係る利益が生ずるときを含む)は、
その適用を受けた事業年度前の各事業年度において生じた欠損金額のうち、
その免除を受けた金額(生じた利益を含む)の合計額に達するまでの金額は、
その適用を受けた事業年度の所得の金額の計算上、
損金の額に算入する旨を規定している(法59@)。

   この規定は、債務の免除があった場合には、
その受けた利益部分について原則として課税されるのであるが、
その債務免除益については、
過去の欠損金と相殺されて法人税が課税されないことを意味している。
[36]
これは、繰越欠損金の生じた事業年度について
青色申告書である確定申告書を提出し、
かつ、
その後において
連続して確定申告書を提出している場合に限定されている(法57H)。
[37]

青色欠損金の繰越控除に関しては、
7年以内
[38]と定められているが、
債務免除益が青色欠損金額を超える場合には、
企業再建を計画通りに行い難くなることを考慮して、
このような債務免除益については、
その額に達するまで損金の額に算入しようとしているものである。
[39]

法人税法第59条第1項の規定の中の括弧書きにある
「その債権が債務の免除以外の事由により消滅した場合」については、
(1)会社更生法等の規定により、債権者が更生計画の定めに従い、
法人に対して
募集株式等の払込金額または出資額等の払込みをしたものとみなされた場合、
(2)会社更生法等の規定により、
法人が、更生計画の定めに従い、
債権者に対して、その債権の消滅と引換えに、
株式等の発行又は出資の受入れ等をした場合、
(3)法人が、債権者からその債権の現物出資を受けることにより、
その債権者に対して募集株式等を発行した場合、とされている(基通12-3-6)。
これはDESを意味しており、
法人税法59条では、DESが行われた場合には、
債務免除益が計上されるものの、繰り越された欠損金のうち、
債務免除益の額に達するまでの金額を損金の額に算入する。

これは、内国法人について
会社更生法又は更生特例法の規定による更生手続開始の決定を受けた場合に,
それぞれ債務免除益,私財提供益及び資産評価益を適用対象として、
法人税が課税されないことを意味している。
[40]

これが、DESの現物出資の方法について、
平成18年度法人税法改正によって明確にされたものである。

会社法においては、株式の発行価額という概念がなくなり、
株式を取得した者が払込み等をした財産の額をもって増加する
資本金及び資本準備金の額とされている(会445)。
そして、法人税法においても新株の発行等の際に増加する資本金等の額について、
その払込まれた金銭等の額とされているのである(令8@一)。
[41]

そして債権者側の取扱いに関しては、基本通達において、
債権者の有する債権を現物出資して、債務者の増資引受けをした場合、
その株式の取得価額については、
「子会社等に対して債権を有する法人が、
合理的な再建計画等の定めるところにより、
当該債権を現物出資
(法第2条第12号の14《適格現物出資》に規定する適格現物出資を除く。)
することにより株式を取得した場合には、
その取得した株式の取得価額は、
令第119条第1項第2号《有価証券の取得価額》の規定に基づき、
当該取得の時における給付をした当該債権の価額となることに留意する。
(平15課法2-7追加、平課法2-3改正)」
と規定されている(基通2-3-14)。

なお、ここに
「令第119条第1項第2号における有価証券の取得価額の規定」とは、
「その払込みをした金銭の額及び給付をした金銭以外の資産の価額の合計額」
であり、
株式の取得価額を、
その現物出資により取得をした時における
債権の時価で受け入れることを意味している。

DESは通常、
債権者が債務者の財務内容が悪化しているときに
企業再建の一手法として実行されているものであるが、
その際の債権の評価額は債権の券面額を下回っているのが一般的である。
この前提を基に、
増資引受けにより取得した株式の取得価額については、
債権の時価により評価し、
差額を損金に算入することとしているものである。
[42]

これは、現物出資によるDESについては、
評価額説を採ることを意味しており、
2節第2項の具体的計算例にあるとおり、
債権者側においては損失が、
債務者側においては債務免除益が計上されることとなる。

 

第2項 適格現物出資の場合の取扱い

平成18年度法人税改正により、
現物出資によるDESについての取り扱いが明確にされたのであるが、
これは、
現物出資の原則的な取扱いである非適格現物出資にかかるものであり、
適格現物出資には該当しない(基通2-3-14、括弧書き)。

適格現物出資とは、
企業組織再編成にかかる適格組織再編成に該当する現物出資である。

企業組織再編成は、
2以上の法人が組織的な結合や分離を行うものであり、
近年のわが国における国際化・情報化の進展等による、
企業活動の多様化・複雑化に伴い、
柔軟で機能的な企業活動を行うために、活発化してきている。

そこで、平成12103日に税制調査会により発表された、
「会社分割・合併等の企業組織再編成に係る税制の基本的考え方」により、
経済実態に、実質的な変更が無い場合には、
移転資産を簿価により引継ぎ、
その譲渡損益については、課税を繰り延べることとされている。
[43]

これにより、
法人税法上、完全支配関係にある法人間で行われる現物出資や、
事業の引継ぎがなされる現物出資といった要件に合致すれば
(このような一定の要件を満たす現物出資を適格現物出資という(法2@十二の十四))、
その現物出資直前の帳簿価額による譲渡をしたものとして
その法人の各事業年度の所得の金額を計算する旨が定められている(法62の四)。
これは、出資資産の含み損益が繰延べられるとするものである。
つまり、適格現物出資に該当すれば、
債権者債務者ともに、損益は発生しない。

これは、券面額説による取り扱いを意味しており、
現物出資が行われた場合、
原則として評価額説を採用しながらも、
組織再編成に係る事業の引き継ぎ等が認められる場合には、
例外規定として、
券面額説の採用を認めている。
組織再編成については、適格要件に該当しない限り、
時価譲渡である非適格取引が原則であり、
この課税繰延扱いである適格現物出資は、あくまでも例外規定である。
しかし、租税特別措置法に基づき認められるものではなく、
法人税法第62条により本法に採りいれられている内容であり、
これは、すなわち
短期的な視野に立った特定の政策目的実現のための措置ではない
とみることができる。
[44]

ここに、DESのみならず、企業の再生や組織再編といった分野においては幅広く、
法人税法や会社法が大きく動いているということが伺える。

 

第4節 考察

DESが行われた場合、
会社法においては当事者が資本取引を行おうとする意図を考慮し、
また、その実務上の要請から、
券面額により評価することをが一般的解釈であるとされているが、
例えば、針塚氏が補足説明として、

「債権者は、債権の回収可能性(会社の破綻の可能性)を考慮した
実質価額(評価額)をもって行動の基準としなければならない」
[45]
と述べていることや、
会社法上、「価額」という用語を用いることによって、
評価額説を採る可能性も含ませた内容となっていることから、
原則(・・)()して(・・)券面額説を採用する、

としていると考える。

そして、税務上においては評価額説を採ることにより、
債権者側において損失の計上を認め、
債務者側においても、債務免除益を計上することとしているものの、
その例外として適格組織再編成に該当する場合には、
簿価引継ぎによる課税の繰り延べを認めている。

このように
法務省は基本的に券面額説を採用しているにもかかわらず、
税務上は原則として評価額説を採っている。
会社法上券面額説を主流とし、
実務面で対応しやすくなったにもかかわらず、
税務上評価額説を前提とした整備がされていることに関しては、
回収可能性に問題のある債権を現物出資する際には
税務上時価評価の問題を考慮せざるを得なかったとの見解がある。
[46]

税務上、
債権者側だけでなく債務者側においても評価額説を採ることが明確化されたのは、
既述の通り平成18年税制改正によるものである。

これまでは、
債権者側では原則として税務上の損失計上が容認されていたにもかかわらず、
債務者側で債務免除益の計上がされる規定がなく資本等取引となっていたため、
同一の取引について、
当事者間の取扱いに、整合性が取れていなかった。
このことにより、一定の課税上の弊害が生じていたのだが、
平成18年度の税制改正により、そういった問題が解消されたとの見方もある。
[47]

この改正に至るまでに、
明らかな法形式の濫用とみられる判例が存在し、
本サイトの判例研究でも紹介している相互タクシー会社の行ったDES
(福井地裁平成13117日判決、以下、「相互タクシー事件」という)もその一つである。

相互タクシー事件では、
券面額と評価額の差額に相当する部分について、寄付金課税が容認されている。
そして、この寄付金課税に至るまでの解釈については、
裁判所の見解及び判例評釈において相違がある。

 なお、この相互タクシー事件における検討は、
当サイトの「判例研究」において行っているので、参考にされたい。
(あきこの事件簿 File.1 「相互タクシー事件に関する一考察」)



  
→ 高額増資引受の寄付金課税の妥当性 へ


[1] 藤原総一郎『DESDDSの実務【改訂版】』2頁(金融財政事情研究会,平成21年)。

[2] 昭和5661日法律第59

[3] 「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」(昭和22414日法律第54号)の略称。

[4] (銀行法第16条の3

銀行又はその子会社は、国内の会社(前条第一項第一号から第六号まで、第十一号及び第十三号に掲げる会社を除く。以下この条において同じ。)の議決権については、合算して、その基準議決権数(当該国内の会社の総株主等の議決権に100分の5を乗じて得た議決権の数をいう。以下この条において同じ。)を超える議決権を取得し、又は保有してはならない。

2 前項の規定は、銀行又はその子会社が、担保権の実行による議決権の取得その他の内閣府令で定める事由により、国内の会社の議決権をその基準議決権数を超えて取得し、又は保有することとなる場合には、適用しない。ただし、当該銀行又はその子会社は、合算してその基準議決権数を超えて取得し、又は保有することとなつた部分の議決権については、当該銀行があらかじめ内閣総理大臣の承認を受けた場合を除き、その取得し、又は保有することとなつた日から一年を超えてこれを保有してはならない。

(銀行法施行規則17条の6三)

(法第16条の31項の規定が適用されないこととなる事由)

法第16条の32項に規定する内閣府令で定める事由は、次に掲げる事由とする。

三 銀行又はその子会社の、その取引先である会社との間の合理的な経営改善のための計画に基づく株式等の取得(当該銀行又はその子会社に対する当該会社の債務を消滅させるために行うものであつて、当該株式等の取得によつて相当の期間内に当該会社の経営の状況が改善されることが見込まれるものに限る。)。

(銀行法施行規則17条の7

銀行は、法第16条の32項ただし書の規定による基準議決権数を超えて議決権を保有することについての承認を受けようとするときは、承認申請書に次に掲げる書類を添付して金融庁長官に提出しなければならない。

[5]  平成141112日公表、最終改正平成2211

  http://www.jftc.go.jp/dk/magl-saimukabushikika.html(平成23716日)。

[6] 平成21年に「産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法」として改正(平成11813日法律第131号)。わが国産業・企業の積極的な対応を支援する制度・措置が定められたもので、平成11101日より施行され、平成1549日に抜本的に改正された

[7]  神田秀樹「債務の株式化(デット・エクイティ・スワップ)」30頁(ジュリスト1219,20023月)。

[8]  子会社側から見れば債務の評価(債務の価値)。

[9]  資本取引とは、法人の資本金等の額の増加または減少を生ずる取引をいう。

[10] 太田達也『「債権処理の税務・会計・法務」完全解説』299頁(税務研究会出版局,平成21年)。

[11] 中東正文ほか『新版「資本の部」の実務−改正商法・会計・税務−』145684頁(新日本法規出版,平成16年)。

[12] 針塚遵「東京地裁商事部における現物出資等検査役専任事件の現状」4頁(商事,1590,20013月)。

[13] 資本充実の原則

会社が行う株主への配当は、貸借対照表上の純資産価額が資本金・準備金等の総額を上回る場合でなければしてはならないという会社法461条に規定する内容に関連する考え方で、資本金の額に相当する財産が確実に拠出されることを要求するものである。

[14] 詐害行為

債権者が債権の弁済を確保するために,債務者のした財産減少行為(詐害行為)を取り消す権利〔民424426〕。債権者取消権・廃罷訴権ともいわれる。債権者は債務者の財産に対して直接に権利をもつ者ではないから債務者の財産管理に干渉できないのが原則であるが,例えば,債務者が自己の財産状態が悪化して弁済の資力を失った状態で所有物を他人に贈与したり,投売りするなどした場合には,債権者は自己の債権の引当てとなっている財産(責任財産)が減少していくのを傍観する必要はなく,詐害行為取消権によって,減少した財産を債務者の手元に取り戻すことができる。否認権と類似した制度である。

『法律学小辞典第4版補訂版』(LOGO VISTA 電子辞典シリーズ 有斐閣)。

[15] 吉本健一『レクチャー会社法』25頁(中央経済社,2008年)。

[16]  分配可能額

会社法4612項に規定する、配当等による会社の純資産の社外流出の規制額。これにより、資本充実の原則が図られる。

[17] 藤田友敬「新会社法におけるデット・エクイティ・スワップ」新堂幸司・山下友信編『会社法と商事法務』123頁(商事法務,2008年)、藤田友敬「自己株式取得と会社法(下)」8頁(商事1616,200112月)、江頭憲治郎『株式会社法第3版』(有 

斐閣,2009 

年)。

[18] 江頭憲治郎『株式会社法 第3版』684頁(有斐閣,2009年)。

[19] 藤田耕司・岡本高太郎「デット・エクイティ・スワップヲめぐる税法と商法の交錯」396頁中里実・神田秀樹『ビジネス・タックス』(有斐閣,2005年)。

[20] 針塚遵「デット・エクイティ・スワップ再論」16頁(商事,1632,20026月)。

[21] 郡谷大輔ほか「DESの会計処理」(企業会計2006Vol.58,2006年)。

[22] 会社法20795号括弧書。江頭憲治郎『株式会社法 第3版』696頁(有斐閣,2009年)。反対、藤田友敬「新会社法におけるデット・エクイティ・スワップ」新堂幸司・山下友信編『会社法と商事法務』133頁(商事法務,2008年)、藤田友敬「自己株式取得と会社法(下)」(商事16168,200112月)。

[23] 神田秀樹「債務の株式化(デット・エクイティ・スワップ)」30頁(ジュリスト12193月)。

[24] 赤石一秀・弥永真生「債務超過会社の債務の株式化」『企業法学(2000 Vol.8)』88頁(商事法務研究会,平成13年)。

[25] 赤石一秀「債務の株式化と会計上の評価」32頁『企業会計』Vol.54 10(中央経済社,200210月)

[26] 弥永真生「債務の株式化―ヨーロッパにおける扱いを参考にして」84頁(ジュリスト

1226,20027月)。

[27] 藤田友敬「自己株式取得と会社法[下]」8頁(商事1616,200112月)。

[28] 事業再生に係るDESDebt Equity Swap:債務の株式化)研究会 経済産業省 経済

産業政策局 産業再生課「事業再生に係るDESDebt Equity Swap:債務の株式化研究報告書」(平成211月)http://www.meti.go.jp/policy/jigyou_saisei/desreport.pdf#search='事業再生に係るDES研究報告書'(平成23811)

[29]  事業再生に係るDESDebt Equity Swap:債務の株式化)研究会 経済産業省 経済

産業政策局 産業再生課「事業再生に係るDESDebt Equity Swap:債務の株式化研究報告書」(平成211月)http://www.meti.go.jp/policy/jigyou_saisei/desreport.pdf#search='事業再生に係るDES研究報告書'(平成23811)

[30] 資産評定に関する基準(資産評定基準)は、平成1986日に、経済産業大臣により告示されている。(経済産業省告示第209号)

http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/bunshokaito/hojin/080328/02.pdf#search='資産評定基準'(平成231016日)。

[31] 2000年以降、急速に世界中に広がっている国際会計基準のことで、日本でも導入が現実的な問題となっている。新日本有限責任監査法人アドバイザリーサービス部『図解 IFRS早わかり』3頁(中経出版,2010年)。

[32] 平成211126IFRIC(国際財務報告解釈指針委員会)より、IFRIC (国際報告解釈指針)919号「債務の株式化(Extinguishing Financial Liabilities with Equity Instruments)」が公表された。IFRS FoundationIFRS財団)及びIASBはそのwebサイト上でのプレスリリースにおいて、

the equity instruments issued are measured at their fair value. If their fair value cannot be reliably measured, the equity instruments should be measured to reflect the fair value of the financial liability extinguished. the difference between the carrying amount of the financial liability extinguished and the initial measurement amount of the equity instruments issued is included in the entity’s profit or loss for the period」として、DESについては、「fair value」、つまり「公正価値」で評価され、「included in the entity’s profit or loss for the period」、つまり「当期の損益に含まれる」こと、すなわち評価額説を採用する旨が示されている。

http://www.ifrs.org/News/Press+Releases/IFRIC+issues+guidance+on+extinguishing+financial+liabilities+with+equity+instruments.htm平成23年9月25日)。

[33] 太田洋「改正商法化のデット・エクイティ・スワップと課税上の取扱い」40頁(商事1638,20029月)。

[34] 針塚遵「デット・エクイティ・スワップ再論」18頁(商事,1638,20029月)。

[35] 針塚遵「東京地裁商事部における現物出資等検査役専任事件の現状」4頁(商事,1590,20013月)。

[36]  武田昌輔『DHCコンメンタール法人税法』3503頁(第一法規,平成22年)。

[37] 佐藤信祐「組織再編における繰越欠損金の税務詳解(第3版)」3頁(中央経済社,2010年)。

[38] (青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越し)

  法人税法57

確定申告書を提出する内国法人の各事業年度開始の日前七年以内に開始した事業年度において生じた欠損金額(この項の規定により当該各事業年度前の事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されたもの及び第八十条(欠損金の繰戻しによる還付)の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものを除く。)がある場合には、当該欠損金額に相当する金額は、当該各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。

[39] 平川忠雄ほか『平成18年度税制改正と実務の徹底対策』198頁(日本法令,平成18年)。

[40] 成道秀雄「会社更生等による債務免除等があった場合の欠損金の損金算入制度」21会社更生法等による債務免除等と繰越欠損金額』日税研論集vol.59(日本税務研究センター,平成21年)

[41]  武田昌輔『DHCコンメンタール法人税法』3506頁(第一法規,平成22年)

[42] 渡辺淑夫・山本清次『法人税基本通達の疑問点』193頁(ぎょうせい,2009年)。

[43] 税制調査会「会社分割・合併等の企業組織再編成に係る税制の基本的考え方」 http://www.cao.go.jp/zeicho/tosin/zeichog4.html(平成231012日)

[44] 渡辺徹也『企業組織再編成と課税[租税法研究双書]』279頁(弘文堂,平成19年)。

[45] 針塚遵「デット・エクイティ・スワップ再論」16頁(商事,1638,20029月)。

[46] 太田達也『債権処理の税務・会計・法務』424頁(税務研究会出版局,平成21年)。

[47] 手塚仙夫ほか『「純資産の部」の会計と税務』487頁(清文社,2007年)。




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