以前、控除対象外消費税について
法人税法上の取扱いとの関係を述べさせていただきましたが、
この、控除対象外消費税、
実は、このサイトの検索ワードで常にトップの位置にいます。
それだけ、難しい部分であり
また、私としては
消費税の、法体系の問題点でもあると思っています。
で、ご質問も多いので、補足を兼ねて
再掲させていただくことにしました。
ここで、まず消費税の会計上の処理方法についてご説明させていただきます。
(説明を簡便にするために申告納付の消費税は考慮しないものとする。)
消費税の会計処理方法には、
税抜経理というものと税込経理というものがあります。
例を挙げますと、次のとおりとなります。
(説明を簡便にするために申告納付の消費税は考慮しないものとする。)
(税抜経理の場合)
収益 200(このとき10円の消費税を受け取る)
費用 100(このとき5円の消費税を支払う)
消費税分として10-5=5が、収益に加算される。
よって200-100+5=105の利益となる
※仕訳
仕 入 100 買掛金 105
仮払消費税 5
売掛金 210 売 上 200
仮受消費税 10
仮受消費税と仮払消費税の差額部分が
租税公課勘定等と相殺されて、
損益に計上される。
(税込経理の場合)
収益 210
費用 105
差額 105の利益が計上される。
※仕訳
仕 入 105 買掛金 105
売掛金 210 売 上 210
この結果
で、次に、消費税の法体系のおさらいです。
・ 消費税の法体系
売上にかかる消費税―仕入にかかる消費税=納付すべき消費税額
しかし、単純に売上の際預かった消費税−仕入れの際支払った消費税=納付すべき消費税額という、
実額による納付とはならない。
上記の例でいくと、一見
10-5=5
が納付すべき消費税額となり、
その5円が消費税額として費用に計上
105-5=100
が当期の利益になると思われますが
消費税の法体系上そのような実額では計算されないんですよね。
では、どのように消費税が計算されるか
1.
まず売上のうち課税売上になるものの税込金額をピックアップする
2.
その金額のうち、売上にかかる消費税を計算
3. 非課税売上額÷課税売上額と非課税売上額によって課税売上割合を計算
4. 課税仕入のうちの、消費税相当額を計算
5.
課税仕入のなかの消費税相当額に、課税売上割合を乗ずる。
→これが、「仕入にかかる消費税額」となる。
つまり、仕入の際に支払った消費税額全額が仕入にかかる消費税額とはならない!!
6.
では、その差額部分はどうなるか。これが、その法人の費用となる。
つまり、納付税額の計算をしていく上で
実額で計算すると
仮受消費税(売上げの際受け取った消費税額)<仮払消費税(費用の支払いの際支払った消費税額)
で、
売上にかかる消費税―仕入にかかる消費税=納付すべき消費税額
の計算式からいくと、消費税額を返してもらえるべきであるのに
消費税の法体系にのっとって計算すると、
結果的に消費税を返してもらうどころか、さらに納付しなければならない、
という、事態が生ずるのです!!
つまり、消費税の法体系にのっとって計算すると
消費税に関する事業主の負担が増えている、
という、なんとも矛盾した状況が生ずるわけです。
そうすると、結果として当然のことながら
その法人の損益にも大きく影響してしまうんです。
いかがでしょうか?
消費税の法体系については、色々議論されている部分であり
この部分以外でも、たくさん問題点があるわけです。
けれど、法律っていうものは
やはりすごいもので、単純に出来ているはずもなく
全て、理論立ててつじつまが合うようになっています。
制度論として述べるとすると、キリがないのですが
そういった部分については、議論するために
法学士が存在するわけで。
私のような、単純なお脳では、なかなか納得しがたい部分でもあるんですよね。
というわけで、消費税について私のちょっぴり本音も
書かせていただいていますので、
興味のある方は、
よろしければご覧くださいませ。→コラム すみれの小経 「逆風」
今回も、かなりはしょって噛み砕いてご説明させていただきましたので
専門的な部分にまで突っ込みますと語弊も多いかもしれませんが
少しでも内容が伝われば嬉しいです。
そして、
消費税について、もっと具体的に教えて欲しいよー
という方がおられましたら、
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