あきこの孫の手 Vol.14

グロスアップってなぁに!?〜差引受取額を保障する方法〜
          


例えば、100円の報酬を支払うに当たって
今までは源泉20円引かれていたとします。

でも、復興税の導入により
源泉が25円になってしまったという事例。

この場合、
これまでは80円の手取りだったのが
75円の手取りに減ってしまいます。

この手取りを変更しないために

源泉の増えた分を支払者側が負担してあげます。

つまり、100円の総額予定だったものを
105円の報酬を支払うと仮定して源泉を計算してみます。

すると、
源泉は27円になりました。

これだと手取りが78円で
まだ2円足りません。

なので、さらに2円報酬額の総額を増やしてあげて107円として
計算してみます。

そうすると、源泉の額は27円のままでした。

つまり、受け取る側の金額は
もともとの金額だった80円として保障されます。

逆に、支払う側は
107円ということで、7円の経費が増えることになります。


このように、
報酬の総額を手取り額に合わせて上げることを
グロスアップと言います。

これは、報酬を支払う側と受け取る側での契約で行われます。

(通常のお給料で行われることはほとんどありません)

要するに、受け取る側の収入額を保証し、
その分支払う側の負担が増える、
というものです。

ですので、支払者側は十分に注意して契約をしなければなりません。

また、お給料でこのような計算をすることはまずないのですが、
会社役員にそのような要望を言われた場合、
なかなか断りづらいものですよね。

でも、役員報酬についてグロスアップ計算をする場合は十分に注意が必要です。

一給与担当者が、上司に言われたからと言って
ホイホイということを聞いていたら
重大な事件に巻き込まれることになります。

なぜなら、役員報酬は
定款や株主総会によって決定されるものだからです。

また、税務上も取り扱いが大変厳しいです。

役員報酬については、税務上なんでもかんでも
損金に算入されるというわけではありません。

つまり、経費と認められない部分があるので
その分税金が高くなっちゃうんです。

役員報酬の改定については
事業年度開始から3月以内にしなければなりません(法34、法令69)。
また、納税地の税務署長への届出も必要です(法34@二)。

役員報酬については、もっといろいろややこしい規定があるのですが、
今回はグロスアップがテーマなので割愛させて頂きますね。

と、まぁこのように
グロスアップ計算というのは意外に需要があったりします。

講演料や出演料等の支払いが多い業種の方は
そういった契約になっていないかどうかの確認と対策を練っておいた方がいいでしょう。




法人税法(役員給与の損金不算入)
第34条 内国法人がその役員に対して支給する給与(退職給与及び第54条第1項(新株予約権を対価とする費用の帰属事業年度の特例等)に規定する新株予約権によるもの並びにこれら以外のもので使用人としての職務を有する役員に対して支給する当該職務に対するもの並びに第3項の規定の適用があるものを除く。以下この項において同じ。)のうち次に掲げる給与のいずれにも該当しないものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
1.その支給時期が1月以下の一定の期間ごとである給与(次号において「定期給与」という。)で当該事業年度の各支給時期における支給額が同額であるものその他これに準ずるものとして政令で定める給与(次号において「定期同額給与」という。)
2.その役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与(定期同額給与及び利益連動給与(利益に関する指標を基礎として算定される給与をいう。次号において同じ。)を除くものとし、定期給与を支給しない役員に対して支給する給与(同族会社に該当しない内国法人が支給するものに限る。)以外の給与にあつては政令で定めるところにより納税地の所轄税務署長にその定めの内容に関する届出をしている場合における当該給与に限る。)
3.同族会社に該当しない内国法人がその業務執行役員(業務を執行する役員として政令で定めるものをいう。以下この号において同じ。)に対して支給する利益連動給与で次に掲げる要件を満たすもの(他の業務執行役員のすべてに対して次に掲げる要件を満たす利益連動給与を支給する場合に限る。)
イ その算定方法が、当該事業年度の利益に関する指標(金融商品取引法第24条第1項(有価証券報告書の提出)に規定する有価証券報告書((3)において「有価証券報告書」という。)に記載されるものに限る。)を基礎とした客観的なもの(次に掲げる要件を満たすものに限る。)であること。
(1) 確定額を限度としているものであり、かつ、他の業務執行役員に対して支給する利益連動給与に係る算定方法と同様のものであること。
(2) 政令で定める日までに、報酬委員会(会社法第404条第3項(委員会の権限等)の報酬委員会をいい、当該内国法人の業務執行役員又は当該業務執行役員と政令で定める特殊の関係のある者がその委員になつているものを除く。)が決定をしていることその他これに準ずる適正な手続として政令で定める手続を経ていること。
(3) その内容が、(2)の決定又は手続の終了の日以後遅滞なく、有価証券報告書に記載されていることその他財務省令で定める方法により開示されていること。
ロ その他政令で定める要件
《全改》平18法010
《改正》平19法006
2 内国法人がその役員に対して支給する給与(前項又は次項の規定の適用があるものを除く。)の額のうち不相当に高額な部分の金額として政令で定める金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
《全改》平18法010
3 内国法人が、事実を隠ぺいし、又は仮装して経理をすることによりその役員に対して支給する給与の額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
《全改》平18法010
4 前3項に規定する給与には、債務の免除による利益その他の経済的な利益を含むものとする。
《全改》平18法010
5 第1項に規定する使用人としての職務を有する役員とは、役員(社長、理事長その他政令で定めるものを除く。)のうち、部長、課長その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事するものをいう。
《全改》平18法010
6 前2項に定めるもののほか、第1項から第3項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

法人税法施行令
69条 当該事業年度開始の日の属する会計期間(法第13条第1項(事業年度の意義)に規定する会計期間をいう。以下この条において同じ。)開始の日から3月を経過する日(保険会社(保険業法第2条第2項(定義)に規定する保険会社をいう。次項第1号及び第7項において同じ。)にあつては、当該会計期間開始の日から4月を経過する日。イにおいて「3月経過日等」という。)まで(定期給与の額の改定(継続して毎年所定の時期にされるものに限る。)が3月経過日等後にされることについて特別の事情があると認められる場合にあつては、当該改定の時期)にされた定期給与の額の改定







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